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自分用の覚え書きをそのまま公開。参考程度にどうぞ。

久々のFM-TOWNS起動とエミュレータ

公開日 2019/07/01
最終更新 2019/07/09
  • 10年ぶりくらいに FM-TOWNS を起動させたので、この際だからと可能な限りバックアップを取った覚え書き。
  • さらにそれをエミュレータで動作させるまでの覚え書き。

うちの FM-TOWNS について

  • Fujitsu FM-TONWS model HB (HB53)
  • 1994年発売。1995年入手
  • CPU: Pentium 90MHz (Pentium 60MHz から換装)
  • MEMORY: 104MB (標準 8MB + 増設 96MB)
  • HDD: 内蔵SCSI 2GB (内蔵SCSI 530MB から換装)
  • LANボード: RATOC REX-3586/87
  • ビデオボード: Fujitsu FMT-412B (ビデオカードII)
  • OS: TownsMENU V2.1 L40, MS-DOS6.2 L10, Linux (Slackware)

 僕のパソコン遍歴は PC-9801 の方 に書いた通りで、物心ついた頃には親の PC-88/98 系が家にあったのでそれ以外知らなくて、他のメーカーのパソコンにほとんど興味もなかったし、TOWNS が登場した時も何の魅力も感じなかった。というかオモチャみたいで馬鹿にしてた。

 が、高校の時、いわゆるパソコン部で TOWNS 限定のソフトコンテスト (1994) に応募したところ見事入賞。部として応募したとはいえほぼ個人製作だったので先生も賞品の扱いに困った結果、賞金は部費にして、副賞のこの子は頂ける事に。入賞記念のプレート付きで、これ自体がトロフィー。

 頂いてからも別に TOWNS に鞍替えする訳でもなく PC-98 をメインに使い続けたものの、1998年に初めてAT互換機を組むまでは Windows マシンとして割と活躍。やたら強化されてるのはそのせい。あとテレビとして使用(ビデオカードはそのため)。

 AT互換機に立場を奪われてからは専らただのテレビだったものの、当時知識として得ておきたかった Linux の運用テストと家庭内サーバーとしてしばらく使われるが、徐々にその役割もなくなる。2010年に今の家に引っ越してからもセッティングはしたもののコンセントすら刺してなくて、むしろ出してたせいで押し入れの PC-98 よりも錆や劣化がひどい。

ドキドキの電源投入

 起動シーケンスは問題なさそうなので安心してたら、MS-DOS 起動後にエラー出まくり。久々すぎて原因特定に手こずるが、どうにもドライブ構成からして当時と違う。

 調べてみたところ、TOWNS は CMOS にドライブ文字の構成を保存してるらしく、バックアップ電池が切れるとドライブ文字がリセットされる 模様。しかも TOWNS の常識では HDD は D ドライブからのはずなのに、電池が切れるとなぜか C からアサインされる。何なのそのクソ設計?

 まあそれならボタン電池を交換すればいいので開けてみたところ、電池は本体の一番底の基板で、しかも基板にハンダ付けされてる。充電池なら分かるよ?。なんでただのボタン電池をハンダ付けしたの?。ハンダ付けは当然基板の裏を見ないとできないので、結局何もかもバラす事に。電池交換の詳しい記事は探せばたくさんある。

 ボタン電池は CR2450。電器屋なら普通に売ってる。でも電池そのものをハンダ付けはできないから (※破裂するからダメ絶対) 電池ホルダーが必要で、それはアキバか通販くらいでしか買えないし、通販だと5個セットとかなので 正直買いたくない。
 結果、一度交換して15年とか持つなら次の交換はもうなかろうという事で(元の設計者もそう考えたんだね)、Amazon で安価だった基板直付け端子付きの CR2450 を購入。元の電池とは端子の位置も大きさも違うのでリード線で繋ぐ。見た目は最低だがもう見る事もなかろうし気にしない。

 てことでやっと次のステップへ。ドライブ設定等をやりなおすが、TOWNS の初期設定なんてとうに忘れたので思い出しに時間がかかる。具体的には以下の順。

  1. 初期設定のために CD で TownsOS を起動、するのだが、CDドライブの挙動もだいぶヤバイ。起動成功率半々くらい。

  2. コマンドモードから Q:\T_FILE\SETCRASH.EXE で CMOS を初期値にリセット。

  3. CD で TownsOS 再起動後、設定 > 日付/時刻 を設定。

  4. 設定 > ドライブ構成 で当時の環境と同じようにドライブ文字を追加しなおす。ドライブの追加/削除という文言がすげえ不安になるが、パーティションの追加/削除ではなくドライブ文字だけの話なので大丈夫。

  5. 設定 > 起動ドライブ で起動ドライブを HDD に変更。変えなくてもいいが起動が速くなる。今後がCDから起動したくなったら、キーボードの CD を押しながらリセット すればOK。

  6. 再起動すると今度は MS-DOS の初期化中に、「ハイメモリ領域は使えません」 とか言い出す。拡張メモリ設定まで CMOS に保存してるらしい。
    MS-DOS の SETUP2.EXE で再設定できるので、拡張/増設メモリ に入り、 アプリ領域1~3HMA登録 にすればとりあえず問題なくなる。これが最適解なのか分からんけど、今更調べる意味もないので調べてない。

バックアップを取ろう

HDDのバックアップ

 元の環境が動くようにさえなってくれれば定番のツールは一通り入ってるので、あとは各ドライブのファイルを LHA なりでひたすら圧縮してメインPCに移動するだけ。 LHA の覚え書きとかはPC-98の方に書いた のでそちら参照。

 そしてここでもまた、どうやってメインPCにファイルを移動するかが一番の問題なのだけど、この TOWNS もLANボード装着済で Linux も入ってるので、ftp で簡単に転送できた。ただ PC-98 の時ように MS-DOS でも ftp が使えるようにまではしてなかったので、DOS と Linux を行き来するのがちと面倒。

 ちなみに、Linux のパーティションについては、主に Linux の習得のために入れてただけで大して何も使ってないので、必要なデータのバックアップは取ったけど、丸ごと再現できるようなバックアップは取ってない。

フロッピーのバックアップ

 TOWNS で使ってたフロッピーについては、後述 の TOWNS エミュレータのツールアーカイブに収録されてる FIT-L でイメージ化。TOWNS独自のフォーマットって訳でもなかろうし、他のイメージ化ツールを使っても問題ないとは思う。

 そもそも TOWNS のソフトは基本 CD-ROM だし、最初から HDD モデルだったので、TOWNS のために保存しておきたいフロッピー自体ほとんどない。

CDのバックアップ

 TOWNS はまず最初にシステムソフトウェアの CD-ROM がないと何もできないので、CD のバックアップも取っておきたい。製品の CD-ROM なので、ツールによってはうまくバックアップできない事もある。

 TOWNS の CD-ROM にはオーディオトラックがよく含まれるので、iso ファイルだけで済まない事が多くてめんどいけど、大抵のCD吸い出しツールならオーディオトラックも含めて何らかの形式でイメージ化できる。今回は単純で対応ツールも多い bin + cue にしてみた。

エミュレータでバックアップしたデータを動かす

エミュレータ選び

 せっかく全データのバックアップを取ったならエミュレータで動かしてみたくなるのが人情というもの。PC-98 は Windows 用のエミュレータがたくさんあるけど、TOWNS のエミュレータもあるんかいなと調べてみたら、なかなか優秀なのがあるようです。その名も うんづ

環境が整うまでにやったこと

  1. うんづ本体 (今回は unz0530.zip) をダウンロード。

  2. ツールアーカイブ (今回は unztools040103.zip) をダウンロード。

  3. うんづは基本的には実機のROMが必要。同梱のマニュアルがとても親切なので、それに従って実機からROM吸い出す。吸い出した *.ROM ファイルをうんづのフォルダに置いて起動。

  4. 設定 > プロパティ に設定が山ほどあるので、まずは CD-ROM1 でCDドライブを設定。うんづはPCのCDドライブをそのまま TOWNS のCDドライブとして読み込める ので、CDドライブがあるなら超便利だけど、ないと面倒(後述)。

  5. PCのCDドライブに TOWNS システムソフトウェアを入れてうんづを起動。本当にCDから起動して感動。TOWNS は元々HDDがなくともCDだけで大抵の事ができるのがウリなので、これだけで結構遊べる。

  6. と、ここで画面は出るものの、何もクリックできない事に気付く。TOWNS の画面上でマウス操作したい場合はマウスの操作モードを切り替える必要がありF12 またはマウスホイールを動かすとモードが切り替わる。
    使い始めてしばらくの間この仕組みに気付かず、でもフルスクリーンなら使えたので、Windows10 だともうマトモに動かせんのかと思ってすげえイライラしながら使ってたけど、マニュアルちゃんと読むべきでしたごめんなさい。
    でもデフォルト設定が マウスホイールで切り替え ってのは知らないと謎挙動すぎるので正直どうかと思う。プロパティの その他 > マウスキャプチャ でボタンを変えられるけど、せめてこの設定の文言が「マウスキャプチャ切り替え」だったらもすこし早く仕組みに気付けたんだけどね。

  7. あともう一つ罠があって、使ってると "X" とか一部の文字が入力できない事に気付くが、デフォルト設定でキーボードにパッドのボタンが割り当てられてるから
    プロパティの ポート接続デバイス が「キーボードでパッド」になっていたら、とりあえず「未接続」にしてしまえばキーボードは押せるようになる。パッドが使いたくなったらまた変更する。
    まあ元の TOWNS からしてキーボード別売なくらいだし、ゲーム目当てでエミュ使う人も多いだろうからこうなったのかね。

  8. 一通り操作の仕方が分かったら、HDD にもインストール。プロパティの HDD でイメージの新規作成や接続が可能。うんづのHDDイメージも指定サイズそのものの巨大ファイルが作られるので、サイズはよく考えて。
    このHDDイメージも、PC-98 エミュでも使った DiskExplorer を使えば中身のファイルを自由に操作できるが、あらかじめツールアーカイブの fmimg2 プラグインを組み込む必要がある。

  9. あとは前述の CMOS リセット騒動のおかげで TOWNS の初期設定手順は慣れたので、まずは CD で TownsOS を起動して、HDD の区画作成やフォーマット、ドライブ文字の割り当てを行ってから、TownsMENU の ツール 内にある HDインストール を実行すればOK、と思ったけど それじゃダメなんだなあ。
    MS-DOS を持ってない人はそれで正解なんだけど、MS-DOS 上で TownsMENU を動かしたい場合は一筋縄ではいかない。

  10. MS-DOS をインストールするには、まず CD から TownsOS を起動し、コマンドモードに入った状態で、プレインストール用の Master CD に入れ替え、DO.BAT を起動する。このツールでHDDを丸ごと工場出荷状態に戻すか、または MS-DOS や Windows のインストールディスクを作れるので、まずは MS-DOS のインストールディスクのフロッピーイメージを作成。
    そのフロッピーイメージで MS-DOS を起動し、HDDのドライブを MS-DOS でフォーマットしてシステムも転送してから、そのドライブに対して TownsOS の HDインストール を実行すれば、やっと MS-DOS 上に TownsMENU をインストールする事ができる。

  11. あとはHDD イメージを DiskExplorer で開き、実機からバックアップしたファイルを全コピー (※元からあるファイルは上書きしない事) すれば実機と同じ状態になるはず。なんだけどね?、なんでか MS-DOS が正常起動しなくなる。
    いろいろ試したものの結局原因は分からず、最終的に Master CD でまずHDDイメージを工場出荷状態にしてから、そこに実機のバックアップを上書きした場合は問題なく動作する 事は分かったので、もうそれでいいやと諦めた。結果的に同じはずなのに何が違うん?

CDイメージを認識させたい

 うんづはPCのCDドライブをそのまま TOWNS のCDドライブとして認識してCDからの起動もできるので、当時のCD-ROMをそのまま使えて便利なのだけど、CDドライブのない機種だと外付けのCDドライブか仮想CDドライブが必要。

 それならむしろ仮想CDにしてしまえば入れ替えも便利なのだけど、どうもうんづは仮想CDドライブを選り好みするようで、ツールによって認識したりしなかったり。
 Windows10 なら標準機能で iso を簡単にマウントできるれど、その場合もエクスプローラーでCDの中身は見えるのに、うんづはCDとして認識してくれない。

 てことでフリーの仮想CDドライブをいろいろ試してみたところ、DAEMON Tools Lite と Virtual CloneDrive は問題なく利用できたけど、他に試したソフトでは認識されなかった。認識さえされればCDからの起動も可能。
 DAEMON Tools Lite はいろいろ鬱陶しいので正直あんま入れたくなかったけど、昔から使われてるだけあるなと。

 なお、上記2つでも、うんづの起動後にディスクを入れ替えるとオーディオトラックが認識されなかったり微妙に不安定。やはり完璧に動作させたいなら物理ドライブと本物のCDで起動させるのが一番か。